高齢者は体内の水分量や体重が減少しており(体重40㎏未満の方も多いです)薬が効きやすい状態であり、さらに薬を分解して体外に排泄する肝臓や腎臓の機能が低下しているため、薬が体内に残りやすい状態です。
それにも関わらず、成人と同じ量の薬を何種類も飲まれています。
つまり、高齢者の現状は非常に副作用が起きやすい状況にあると言えます。
では、何種類以上が多剤内服かといいますと、東京大学老年病科の研究によると内服薬が6種類を超えると薬物有害事象の頻度は15%くらいにはねあがるという報告があります。
1つの病気に対する処方薬剤の数というのは、高齢だからと言って多くなるわけではありません。つまり年齢により高血圧のお薬が何種類にもなったり、高脂血症のお薬が増えたりするわけではなく、複数の疾患を抱えていることが原因で高齢者は多剤内服になりやすいと言えます。
そしてそれが、高齢者の薬物有害作用の頻度が高く重症例が増加することにつながっていると考えられます。
また、入院中は看護師さんがお薬を管理してくれたり、自己管理の患者さんにもちゃんと服用したか声掛けで確認をしてくれますが、退院した後、患者さんはたくさんのお薬を家できちんと自分で飲めるでしょうか?
つまり患者さんのお薬については、現在のこと、さらに退院後のことも考えて処方内容・剤形・服用時点など、あらゆる角度から現在の処方を評価して患者さんのためにより良い処方へと見直していくことが必要です。
当院へご入院の際は、今服用されている薬が今の病状に必要か、病棟の薬剤師が確認をさせて頂きますので、ぜひご相談ください。