言語聴覚士として失語症(相手の話が理解できなかったり、自分が言いたい言葉がでなかったりするなどの言語障害)の治療に関わる中で、いつも思うことがあります。
それは『ことばのチカラって凄いな』です。
脳梗塞で上手く話せなくなった患者さんがいらっしゃいました。
失語症のリハビリテーションをして「ありがとう」という言葉をなんとか言えるようになり、出来るようになったことを内緒にして、ご家族に言語聴覚療法室に来ていただきました。
そして、ご家族にこれまでの感謝の気持ちを込めて、「あ・り・が・と・う」という言葉を伝えていただきました。
何度も、何度も、「あ・り・が・と・う」を繰り返し伝えられていました。
その言葉にご家族は号泣し、「うん、うん」と頷かれていました。
私はそれを間近で拝見し、『ことば』が持つチカラの凄さを実感しました。
後遺症として失語症を患った際、どこまで回復するかは、人それぞれです。
言語聴覚士として、患者さんの『ことばのチカラ』をどう引き出していくのか、これからも日々研鑽していきます。